コンピュータサイエンスの教授が Mathematica を使って受賞に輝く彫刻作品を作成
マサチューセッツ工科大学(MIT)で電子工学とコンピュータサイエンスの博士号を取得したGeorge Hart教授は,コンピュータと数学漬けの人生(彼にとっては芸術の人生)にすべてをささげています.
Hart教授は1960年代に子どもだった頃から手作業で多面体や幾何学的な図形を作り始め,大学生になる頃には,厚紙を使ってもっともっと複雑な多面体模型を作るようになっていました.「私にとって,この作業に Mathematica を使うようになるということは自然の成り行きだったのです」とHart教授は語りました.1990年代初頭からの本格的な Mathematica ユーザであるHart教授は,プログラムが幾何学的彫像を作成するのにいかに役に立つかを発見して嬉しく思ったそうです.
Hart教授は Mathematica を使ってデザインの複雑な部分を可視化しています.厳密な視覚的模型によって,緻密な構造を作り部分部分を組み合せることが可能になります.多くの場合組合せは手作業で行われます.
1998年にHart教授は Mathematica を使った初めての作品「Yin and Yang」を作成しました.このクルミとアメリカ菩提樹の木材でできていて,中が空洞である2つの幾何学的形状の組合せを作ることによって,Hart教授は新しい種類の多面体の形を発見しました.
その同じ年にHart教授は「Millennium Bookball」に取り掛かりました.この作品には後にNew York State Council for the ArtsからIndividual Artist’s Awardが授与されました.Northport Public Libraryから依頼されて作成したこの直径5フィートの彫像は,今世紀最高と認められた60冊の本を木で複製したものの集合で青銅の輪で繋げられています.
それ以来Hart教授は,12体以上の彫像を最初に Mathematica で可視化を行ってから作成してきました.彼の作品はLong Island Museum of Science and Technology,Goudreau Museum,Vanderbilt Museumを始め数多くの公共施設に展示されています.Hart教授とその作品については「New York Times」を含めた多くの雑誌や新聞で取り上げられています.
またHart教授は,これまでに60以上の数学関係の論文を出版し,広範に渡るオンラインのEncyclopedia of Polyhedraを執筆して,現在ニューヨークのStony Brook Universityで教えています.
数学関係のしっかりした経歴を持つHart教授は,まず自分が作成しようと思うものについての技術的な概念を考え付きます.彼の作品は,Elizabeth Bishopの詩「The Man-Moth」に感化されて作った高さ21インチのねじれた鋼鉄と張子の形「Battered Moonlight」から,木製のサラマンダーたちがお互いに繋がっている直径30インチの建造物「Salamanders」まで,いろいろあります.
「通常は新しくおもしろい形から始めて,視覚的にも知覚的にもおもしろいものになるように材料を考え付くということが多いのです」とHart教授は語りました.
しかし数学から芸術への変換はHart教授にとっては大きなものではありません.「一般に多面体というのは芸術ではありません.しかし.もしも長い時間じっと見ていてもそれに興味を感じ続けることができるなら,その場合は,それは私にとっては芸術です」とHart教授は語っています.
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