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宇宙飛行士,宇宙ステーションミールからWolfram Researchのカスタマーサービスに電話をかける

「NASAの地上職員がWolfram Researchのカスタマーサービス担当者であるAllison Fryに連絡を取り,間もなく Mathematica は軌道上で再起動されました.」

宇宙ステーションミールでの問題が最悪だったときに「どうしてミールのカスタマーサービスホットラインに電話をかけないのだろう」と思った方も多かったのではないでしょうか.事実NASAは,宇宙衝突の結果として起ったごく小さな問題を解決するためにカスタマーサービスを呼び出し,迅速な解答を得ていたのです.

ミールの宇宙ステーションは,個々に宇宙に打ち上げられ,軌道上で接続されたいくつかのモジュールから構成されています.これらのモジュールの1つであるスペクトルには地球を観察する機材が納められており,アメリカ人宇宙飛行士の居住空間としても使われていました.1997年6月時点の居住者はMichael Foale博士でした.このときミールには博士の他に2人のロシア人宇宙飛行士Vasily Tsibliyev氏とAlexander Lazutkin氏がいました.6月25日にスペクトルモジュールは新たな自動誘導装置のテスト中に無人補給船と衝突し破損しました.宇宙ステーション内では気圧が下がり電力も失われました.ミールの残りの部分の減圧を防ぐために,スペクトルモジュールはFoale博士の所有物が中に入ったままの状態で緊急に閉鎖されました.

アクセスできなくなったFoale博士のコンピュータには,博士が長年に渡って高度な数学の問題を解くために使ってきた Mathematica という市販の計算ソフトウェアシステムがロードされていました.Mathematica はミールをもと通りにするために必要なタスクのヒントを与えてくれるかも知れないと考えて,博士は自宅からハードドライブのバックアップを取り寄せ,次の輸送船でMirに送るように頼みました.しかし,Mathematica を新しいコンピュータにインストールするのには新しいパスワードが必要で,そのためには Mathematica の製造元であるWolfram Research, Inc.に電話をかけなければなりませんでした.NASAの地上職員がWolfram Researchのカスタマーサービス担当者であるAllison Fryに連絡を取り,間もなく Mathematica は軌道上で再起動されました.

Foale博士は地球に帰還後,スペクトルでなくしてしまったCDの代りがもらいたいとWolfram Researchに連絡しました.今回は輸送船の手を煩わせることなくCDが送られました.ミールのその他の問題点について,多分現在のクルーは電話一本でもっといろいろなことが解決したらと思っていることでしょう.

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