微積分の授業をアートが刺激
クロアチアの数学とコンピュータサイエンスの教師であるMaja Cvitkovic先生は,昔からある普通の数学の授業のやり方には満足していません.そこで先生は先日ザグレブのワークショップで10代の若者たちに Mathematica を使って教える機会があったときに,若者たちに遊ぶチャンスを与える授業を考えました.その課題とは「ランダムな点を使って絵を作成しなさい」というものでした.
Cvitkovic先生の説明によると,「普通,微積分の練習問題は生徒たちに関数を提示してグラフをプロットさせるというもの」だそうです.「しかしこの方法は消極的すぎると思います.」生徒たちがよりよく関数とそれに関連するグラフを理解するために,Cvitkovic先生は今までの練習問題を彼女の言葉で言うと「ひっくり返し」たのです.彼女の生徒たちはまず画像を頭の中に思い浮かべることから始めて,次にその画像をランダムな点のリストに応用した場合に画像を作成できるような関数を見付けるようにと言われます.
画像を決めて紙にスケッチした後,生徒たちは画像を作成する際にどの部分に点が密集している必要があって,どの部分にあまり点がなくてもよいかということを考えます.次のステップで実験が始まります.基礎的な方程式と簡単な変換によって表示される形についてすでに知っていることを利用して,生徒たちは Mathematica で関数を書き,希望する曲線や点の分布に合うような関数の正確な式を見付けるまで関数に修正を加えます.そしてランダムな点のリストに関数を応用して自分たちの点描画家としての作品を可視化します.最終段階では色を付け,希望する場合には点を異なる大きさの円板で置き換えます.
Cvitkovic先生は,この練習問題が初級の微積分の生徒たちに適切であり,確率論の導入にもなっていると考えています.この練習問題では,2つの関数が組み合せられたときに何が起るかと,関数に数字を掛けたときにどのような結果となるかを理解することが必要となります.Mathematica を使用するスキルについて言えば,この練習問題を解く前提条件は,計算を行う,リストを操作する,初等関数のグラフをプロットするといった方法を含めたシステムの基本をよく知っているということだけです.Cvitkovic先生の生徒たちはこの課題に取り組む前に Mathematica に関する2時間のクラスを約10回受けました.
Cvitkovic先生は,この練習問題は変わっていて想像力を要するので生徒たちも楽しんでいると報告しています.この問題は,問題の「答」がそれぞれの生徒に独自のものなのでやる気を起させ,関数の無限の変形,画像,動作を発見するために繰り返し行うことが可能です.
Mathematica では必要なツールすべてに生徒たちが簡単にアクセスできるので,Mathematica がこの練習問題を解く上で特に適切であるとCvitkovic先生は考えています.Mathematica は少しのキーストロークで関数のグラフのプロット,点の値の計算,そして絵の部分を組み合せることを可能にします.また「生徒たちが助けを必要とする場合には,例を含めた素晴らしいオンラインのヘルプがあります」と先生は付け加えています.
「Mathematica を使う主な利点はそのシンタックスの優美さにあります.考えることをそのまま書くことが可能であるため,生徒たちはプログラミングではなく練習問題の数学的な面に専念することができます.これこそ Mathematica が教育において使われるべき方法だと私は思います.Mathematica は生徒たちが探求し何かを発明ようにしむけてくれます.」
Cvitkovic先生がこのトピックに関して同僚の先生たちに伝えたいことは,激励と1つの警告です。「とりあえず試してみてください.でも気を付けないと先生も先生の生徒さんたちも Mathematica で遊ぶことに病み付きになってしまうことがありますよ.」
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